衛星トリフネで負った怪我が元で、信州のサナトリウムに隔離入院することになったメリー。蓮子と連絡も取れず、サナトリウムの外にも出られない、退屈な隔離生活を読書でやり過ごす日々が続いていた。
　そんなある晩、メリーはふとしたことからサナトリウムの屋上で、ひとりの少女と出会う。神様が視えるというその少女――東風谷早苗は、メリーに手を差し伸べて言った。「夜の空中散歩でもいかがです？」と。

　空を飛び、湖を割り、神様を視る早苗と過ごす奇妙な時間。これは夢なのか、それとも現実なのか？　いや、そもそも、自分にとっての現実とはいったい何なのか？
　蓮子のいないサナトリウムで、夢と現の狭間を彷徨うメリーと、それを導き翻弄する早苗。彼女との出会いはメリーに何をもたらすのか。そして、蓮子のいない世界で、メリーの辿り着いた答えとは――。